26歳OL。一日一生

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【感想】 マイフレンドフォーエバー~純粋が持つ残酷性~

雄大な自然と純粋な子供達をバックに、「残酷」という山が静かにそびえている

この映画はそんなイメージだった

最後のシーンでは分かってはいたけど涙が止まらず、ソフトコンタクトを1枚無駄にした

 

大人になれば、何が善で何が悪か、そしてこのシチュエーションでは

どちらを選択すべきなのか、という「常識」を基準とした判断を行うことができる

今までの過程で挫折や諦めを幾度となく経験してきたからこそ可能と不可能の境界が自ずと分かるようになってくる

 

私は常識とはその平均値だと考えている

 

ところが、子供はその限りではない

今までに挫折や諦めを経験したことがあまりない

だからこそ、この世は無限の可能性で溢れていて自分たちがチャレンジすれば全てが叶うだろうという「希望」を基準とした判断をもとに行動していく

 

この作品は、子供の純粋さと残酷さをテーマとした作品となっている

 

以下、軽く概要を記します

(1995年公開・アメリカ映画)

 

主人公のエリックは、12歳

もの静かな少年

学校では友達からハブられ、母親は息子に関心がない

エリックは学校が終われば、家の庭で人形を焼き、戦争ごっこにいそしむ

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ある日、隣の家へデクスターという少年が引っ越してきた

彼はエイズに感染していた

幼い頃にほどこされた輸血の中にHIVウイルスが含まれておりそれが原因であった

11歳にしては、小柄でひ弱な、ただし文句ひとつ言わない気丈な少年であった

 

最初は

HIVは空気感染するからあの子に近寄るな

という母親の命令を受け、デクスターを警戒していたエリックであったが、二人は徐々に仲良くなっていく

 

一旦、仲良くなると急速に友情は深まっていき、エリックは毎日のようにデクスターを遊びに誘う

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デクスターの母親は自分の息子が人より何倍も疲れやすい体質

だと分かってはいたが、それ以上に今までHIV患者というレッテルを貼られ、誰も近寄ってこなかった自分の息子をほかの人となんら変わらず接するエリックに感謝していた

 

当時はHIVは不治の病と言われていたが、エリックはどうにか治してあげたいという一心から様々な試みを行う

 

今までたべることを禁止されていたお菓子をむりやりデクスターに食べさせて、改善を試みたり

(実はデクスターはそんなに食べたくなかったが)

 

二人で森林へ出かけ、様々な葉をお湯で煎じて飲ましたり

(時にはそれが毒草でデクスターは死にかけた)

 

ニューオリンズに特効薬があるはずと、デクスターをけしかけて大人には無断で、何日も船を漕いで航海へ出たり

(何日にも渡る航海の疲れでデクスターの状況は悪化した)

 

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しかし、こうした努力にもかかわらずデクスターは死んでしまう

死に際は至って静かであった

 

デクスターが入院してからというもの、毎日のようにエリックはお見舞いに行った

二人はもっぱら死んだふりごっこをして遊んでいた

 

まず、デクスターが死んだふりをし、焦った(ふりの)エリックが看護師を呼ぶ

看護師は急いで病室へ来て、デクスターの心臓を聴診器で図る

その瞬間、デクスターが大声で叫び、どっきり成功、というオチである

ある日、いつものように二人は死んだふりごっこをすることにした

 

泣いたふりをして医者を呼びに行くエリック

駆けつけた医者が急いでデクスターの鼓動を図る

いつものようにわっ!と驚かすデクスターを楽しみに目を輝かすエリック

 

デクスターは叫ばなかった

 

早く叫べ、デクスター

不穏な空気を感じ始めるエリックだったが、それでも彼はいたずらな

笑みを浮かべていた

しかし、すでに目元は笑っていなかった

 

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そこへ医者の声が聞こえてくる

 

残念です

 

静かな終わり方であった

ここまでがこの作品の概要である

 

この作品を通じて感じたことは子供の純粋さと残酷さであった

主人公のエリックは唯一心を開く相手はデクスターのみ

心の底からデクスターの回生を望んでいた

だからこそ、葉を飲ませたり、航海へ出ることで特効薬を探しに向かった

 

しかし、私達から見ればこの判断がいかに危険なものであるかは一目瞭然である

HIVとはものすごい勢いで免疫が落ちて、他の病気と合併してそれが原因で死ぬことが最も多い

HIV自体で死ぬことはあまりないのだ

ところが、エリックの行ったことといえば、毒草を飲ませたり着替えもせず何日も海を航海するなど

 

むしろ殺しにかかってるのでは?

 

と思わせてしまうような行動を繰り返す

ここに純粋さが持ち合わせる残酷さが浮かび上がってくる

 

それでも、デクスターの母親が一度もエリックを叱らなかったのは何故か

それどころかデクスターが死んだ後の最後のシーンで二度とエリックに手を上げるな、とエリックの母親の胸倉をつかんでまで他人の息子を守ろうとしたのは何故か

 

それは、エリックの根底にある優しさを知っていたから他ならない

周りの者はHIV患者というだけで誰も彼に近づこうとしない

ところが、エリックだけは違った

それまで孤独であったデクスターの中に深く入っていき

デクスターを孤独の底から拾い上げた

本気で自分の息子と向き合ってくれた

その思いが嬉しかったのだ

 

最後に、主人公エリック演じるブラッドレンフロは2008年に亡くなっている

25歳という若さであった

天才的な演技と甘いマスクで一世を風靡した彼であったが幼少期には、自身の父親が極度の薬物中毒のため両親の離婚を経験している

小さい頃に、薬物撲滅のCM脚本を書き上げ、自ら売人役を演じた

それを見初めた警察に俳優への道を進められ、一躍有名になった

ところが、なんとも皮肉なことにその後、彼自身が薬物中毒となり、

何度も刑務所へ行き、最終的にロサンゼルスの自宅で中毒が原因となり死んでしまった

あれほどの演技力を持った俳優を失うことは非常に残念だ

ご冥福をお祈りします

 

ここまで読んでいただきありがとうございます

3連休楽しみましょう!