26歳OL。一日一生

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【感想】グッドウィルハンティング 。頑なな男の子の成長

私はもともと映画はそんなに観るほうではありませんでした

しかし大学生になり当時お付き合いさせて頂いた方がかなり映画を観る方で、その人の影響で今では週3本は映画ウォッチャーです

そんな私ですが、これより前にも後にも出てこないだろうな、というオススメの名作があります

それが
グッドウィルハンティング」
です

簡単に概要をお伝えすると、
主人公のウィルハンティングは驚異的な数学能力を先天的に与えられた少年
普通の人がどんなに参考書をマスターしても分からない問題がウィルにはなんの学びを得なくても分かってしまう

そう、天才なのです

しかし同時に、彼は幼少期から義父の虐待を受けて育っており、一切人に心を開かない孤児でもありました
また孤児のため、本当は大好きな数学を学ぶ為のお金もありませんでした

学校に通うこともできず、地元の不良チャッキーたち3人とつるむ日々
チャッキーも他の3人もみんな不良ではあるけれど、優しく、ウィルはその中でワイワイ、生活する為のお金は日々の清掃アルバイトで稼ぎ、自分の人生はこんなんもんだ、と納得させていました

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さて、一旦シーンをガラリと変えます

ここは、マサチューセッツ工科大学。世界屈指の秀才が集まる大学
数学の権威であるランボー教授は、日々数学科の学生たちに代数的グラフ理論の難問を出し続けます。廊下の黒板に教授が問題を書き、生徒たちはそれを解こうとみな必死
ところが世界屈指の優秀な学生たちが集まる中、ある問題はどうしても学生達には解くことができなかった

難しすぎたのです

そうしてその問題が何日も未解決であったある朝、黒板には正解が殴り書きで書いてありました

まさかこの問題を解ける生徒がいるとは…ランボー教授はなんともいえない恐怖を覚えつつ生徒達に誰が解いたのか詰問していきます
しかし生徒達の反応はみな一緒

「僕ではありません」

その人物こそ大学でアルバイト清掃員として働いていたウィルだったのです

ランボー教授は最初信じることが出来ませんでした
こんな大学も出ていないような清掃員がいとも簡単にこの問題を解けるわけがない…これは何かの間違いだ、と

ところが嫌がるウィルを捕まえてあらゆる問題を解かすとスラスラと解けてしまう
今まで自分が何年もかけて積み上げてきた数式をこの少年はいとも簡単に紐解いてしまう
今まで味わったことのない挫折を味わうことになったランボー教授

とはいえウィルの類いまれなる才能に着目したランボー教授は更に彼の才能を開花させようと
様々なフォローをします
最初は今まで学ぶことのできなかった大好きな数学にどっぷり浸かれる環境に幸せを感じるウィル

ところがウィルには1つ大きな欠陥がありました
それは今まで人を信じることが出来ず表面的な付き合いしかしてこなかった代償としての非行でした
少しでも人が自分の心の内に入ってこようとすると必要以上に突き放そうとパニックしてしまう
そう、怖いのです。自分の内を知られることが。異常なまでに

ランボー教授も例に漏れず
人を信じる傾向が薄いウィルを更生させるため、様々な心理学者にウィルを診てもらいます

ところが、皆ウィルにとことんあしらわれ、サジを投げ出す始末。
ウィルはなにがあっても自分を人に見せませんし、そのような大人の作為を毛嫌いします
ランボーは最後の手段として、学生時代の同級生ショーンにカウンセリングを依頼します

最初はいつものように砂を捲くようにショーンに接するウィル
話しかけてくるショーンに対して挑発的な言葉を並べ続けます
そして、ショーンの研究室に飾ってあった絵を見て、批判的に評したウィル
実はこの絵はショーンが妻を亡くし、悲しみに暮れた中で描いた絵だったのです

その瞬間、ショーンはウィルの首を絞めます

一瞬、戸惑いを見せたウィルですがすぐに気を取り戻し何事もなかったかのように部屋を出ていきます
俺はへっちゃらだよ、という風に

ことの一件を終始見ていたランボー教授はまたか…と肩を落とします
ところが次の瞬間、ショーンはランボー教授に来週木曜日に彼を連れてくるように伝えます

こうして、ショーンとウィルの日々が始まることとなります
始めはショーンにもめいいっぱい棘を出し続けていたウィルですが、ショーンにだけは徐々に心を開くようになります
カウンセラーという立場でありながら、ショーンもまた最愛の妻を亡くし、心を閉ざしていた仲間だったのです
初めて人に心を打ち解けれられるようになったウィルはその後も恋愛なども通して人として成長していくストーリーです

誰にも心の内を見られたくない、という思いはあります
自分の本意を知られるのが怖くて表面的に振舞ってなかなか心と心で接しようとしない
本当の自分を知られるのが怖いのです
そんな恐怖を抱えながらも必死で生まれ変わろうとするウィルの描写には涙なしに観ることは出来ません

是非みなさんにも観て頂きたい作品です

 

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また、この作品は主人公ウィル演じるマットデーモンが学生の時に自ら作り、監督までした作品となります
デーモンはもちろん、ショーン演じるロビンウィリアムズも半端でない名演者だと思います
ただ、残念なことにロビンウィリアムズは3年前に自ら命を絶ってしまいました
素晴らしい俳優さんであっただけに、ご冥福をお祈りします

最後にこの作品で一番心に残ったセリフを以下に記します
ショーンがウィルに対して言ったこの一文です
ヒトが変わるきっかけは自分自身なんだ、という事を痛感させられます

「君には真の喪失というものがどういうものなのかわからない。なぜなら、それは自分自身以上に愛するものがある人にしか起こらないことだからだ。今までに君がそこまで強く誰かを愛する勇気があったとは僕には思えない。君を見ても、知的で自信にあふれている人間には見えない。そこにいるのは、生意気で驚くほどびくびくした子供だ。でもウィル、君は天才だ。誰もそれを否定しはしない。おそらく誰も君の能力の大きさを理解できないだろう。でも君は、僕が描いた絵を見ただけで僕のすべてがわかると生意気にも言った。そして僕の人生をずたずたに引き裂いた。
君は孤児なんだろ?
君の人生がいかにつらいものだったか、君がどんな気持ちでいるか、君がどんな人間なのか、それらを僕が知っている、なぜなら僕が『オリバー・ツイスト』を読んだことがあるから、なんて君は考えるかい?それで君の人生をうまく理解したことになるのか?個人的にはそんなことはどうだっていいんだ。もし君が自分がどんな人間なのかを僕に話してくれなければ、僕は君から何も学ぶことはないし、本からそれを学ぶこともできない。でも話してくれるなら、僕は心をひかれるだろう。僕はいつだっている。でも君は話したくはないんだ。君は話すのが怖いんだ。
あとは君次第だよ、ウィル。」

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました